2007年 12月 08日
「物の見方」 補足と休憩
 糸口その2に記した逸話の
丈高きもの、尊きものを良しとする、・・・・との見方で、

今まで見ていたものを、見直してみると、

今まで良く判らなかった物が、少し見えてくるようです・・・・これが第一歩です。


 ◎補足・・・・近衛信尋は、寛永の三筆(近衛信尹・光悦・松花堂昭乗)の一人。

        信尹(ノブタダ)の養子 (後陽成天皇の第四皇子)

        茶は織部に、華道は池坊専好に学んだ人。

      ○ 養父信尹、和歌に長じ、書は独自の書風で、近衛流を起こし、

        その号に因んで、三藐院と呼ばれた。

      ○ 信尹の父は、関白近衛前久なので、孫信尋は、身分は光悦より上。


 ◎ それでは少しお遊びを

      ○ 赤人の
       「田子の浦 打ちいでて見れば真白にぞ

                         不二の高嶺に 雪は降りける」 
       
       これは万葉集 巻三(595年)で

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     ○ 定家の「百人一首」では

      「田子の浦 打ち出でて見れば 白妙の 

                         富士の高嶺に雪は降りつつ
      
      と、なって居るが、これは藤原定家・家隆等の選の

      新古今、巻六、冬で、すでにこう変えられている。

      これについては諸説があるが、同、新古今に、定家の歌で

    ○ 「白妙の 袖のわかれに 露おちて 

                         身にしむ色の 秋風ぞ吹く」

      があり、「真白にぞ」を「白妙の」に変えたのには、定家が係わっていそうです。

    では「田子の浦ゆ」・・・・の、「ゆ」は、

    ○ ゆ・・・・斎・湯・弓・幽 → 清らか、神聖な、を含み

          動作、作用の時間的、空間的な起点を表す

          ~から  ~以来

         例、 天地の分れし時、神さびて・・・・

    ○ 最後の「降りける」の「ける」は

      けり・・・・過去の回想、~たのであった、 ~たそうだ

      ける・・・・連体形で、~昔から聞いていたように、雪は降っていた、になるが

      つつ・・・・では、現在形で、・・・・今も降り積もっている、となる。

    ○ 全体を見て (宮柊二  氏、評)

      前歌は、・・・・男性的で、古代的で、神的、崇高、永遠である。

      後歌は、・・・・女性的、近代的で、人間的、優美で、昨今である。

      定家とも、あろう者が なぜ?? なぜなら・・・・

    ○ 定家は・・・・貫之を評して・・・・

      「歌の心たくみに  をよびがたく  ことば強く 

                   おもしろき様をこのみて余情、妖艶の躰をよまず」

      と、丈の高さに触れているのに・・・・

      (妖艶・・・・感情を露にせず、優雅に包み隠す事)

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    ○ 貫之は、人麻呂と赤人は、どちらを上とは云い難しと、

      二人を同列に賛美している (山柿の門)

    ○ しかし、その貫之も、古今の中で、在原業平を評して

     「その心あまりて、こころ足らず、しぼめたる花の色なくて、にほひ残れるが如し」

     と、酷評です。

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   ○ 白洲正子さんは

     「業平の心を 物差しのちがう 貫之には理解できない」

     と、 さすが 白洲正子さんの 見識は確かです。

     業平自身も 「我と等しき 人しなければ」と、言っています。
     
    <評は出来ても 理解できない> 

    このことを「違う時限に住む」と、たとえた人が居ましたが、

    なるほどです。   しかし面白いですね。


   ○ 定家には、新古今に

     「見渡せば 花ももみじもなかりけり 

                  浦の苫谷の 秋の夕暮れ」 があり、

     この歌は、 お茶人のバイブルになっている。

   ○ 又 書では定家様を、創始し、多くの追随者を出し、

     遠州なども、この風を模した物がある。

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   ○ 国宝の土佐日記の断簡は、評価が高いのだからいいのに違いないはずだが、

     私には 未だ 未熟なのか、そのよさが判りません。

     まだ  道は遠いようです。



      


        
by hokorin-touchan | 2007-12-08 12:29 | 物の見方


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