2008年 02月 27日
物の見方 「糸口」 その9~続続続 芸術と美術~
 〇 ここでは 芸術と美術 について、 この国の見方としての違いを

   判り易くするため、いくらか強調して、 対極するものをあげていますが、

   決して、どちらが優れて どちらが劣っていると云うものでは ありません。

   いずれも、その作に 相対する人に、「昂揚、沈静、緊張、弛緩」 その他の

   感情をもたらし、物想わせるものです。

 〇 日本的見方としての

 
 〇 美術のキーワード                〇 芸術の指向する処

    満月                           十六夜

    完璧                           不完全美

    シンメトリー                      不対象の均衡

    具象                           抽象   

    静                             動 

    重                             軽

    精密                           省略

    緻密                           アッサリ

    構える                          自然体

    精緻                           簡素

    複雑                           単純

    熟練の技                        稚拙の美

    人知の限りを尽くす                  天真、素直

    無作人風(知恵、技術)                作人風(人格)

    真                             草

    中国                           日本

  
  〇 芸術は 内容、中身であり、 感情、熱情、人柄でできている。

  〇 美術は 外貌、外身であり、姿で  知恵と努力、技術、工夫で拵えたもの。

   
    これらを ふまえて あらためて往古の作品を見てみると、

    見え方 感じ方が変ってくるのではと・・・・・

  この項(芸術と美術) おしまい。               
                                   続く              
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by hokorin-touchan | 2008-02-27 18:23 | 物の見方
    
2008年 02月 26日
物の見方 「糸口」 その8~続続 芸術と美術~
 〇 芸術は、その内容であり、内容は個性である。

   個性は、先天的自己(生まれながらに、天から与えられたもの)

         後天的自己(本人の眞理追求によって培われたもの)

   と書きましたが、判りにくいので、も少し詳しくしてみましょう。


 〇 先天的自己とは、天才のことです、生まれ乍らにして、何の努力もなしに、

   「糸口 その3」で述べた 「宇宙のバランス、命のバランス」を

   体内にもって生まれた人で、線を引けば線が、楽を奏でればその旋律が、

   宇宙のバランス、自然の摂理に適った、線になり、音になり、

   見る人、聴く人の心に、ここちよい昂揚や沈静、

   その他(緊張、調和、安定、安心、清浄などの感)を与えられる表現力を持ち、

   物の良し悪しを、直感的に判断する力も 備わっていたのです。

   ただし、大方夭折する運命であったようで、

   これは命(寿命)と引き換えに、天から与えられた能力だったのでしょうか?

 〇 後天的自己(本人の眞理追求によって、培われたもの)については

   糸口その1~その5などで、

   桃山茶人の物の見方の完成過程の核心部分(一部かも)についてのみ、

   触れましたので、ここでは「芸術とは」の個性の中身について、

   個性は又、その人の人格人格とは人品人柄などで
 
 〇 人品は=人品の良い人は、それがおのずと作品に現れる などと言われる

   「品性」のことで、これは、多くは、「生まれ」「育ち」に大きく左右されるものです。

   

 〇 広き野を、流れゆけども 最上川

          海に出るまで にごらざりけり

                    昭和天皇の御製です。

   バーミアンは 月ほのあかく 石仏は(みほとけ)

          御貌削がれて 立ち給いけり (アフガニスタンにて)

                    香淳皇后の御製。

   「生まれと育ち」のせいで俗にふれていない魂魄で詠む歌は、

   やはり透明で、いつくしみがあります、丈高い歌です。


 〇 芸術作品に限らず建築、彫刻、絵画、刀、焼き物、等々

   人の作った物は、大方 時代を遡るほど良い、というのは、

   昔の職人は、自然から多くを学び、自然の摂理、眞理を知り、

   神仏を敬い、畏怖し 正直で素直で、俗を離れ、確たる信念を持って、

   物作りをしたからでしょうか。

 〇 (眞実を知る人と、そうでない人は、想いが違う、

   想いの違いが作品に出る、 如実に、でる 確実に出る)


 〇 2月17日夜のTVで、弥生人が残した謎の木製品、

   現代の人間国宝3人が復元に挑む、というのがあり、

   発掘された二千年前の美しき器の復元に挑んだ3人の木工家は、

   先人の知恵と、工夫と、技術に、驚嘆し 

   改めて木工芸の心の何たるかを教わったと・・・


 〇 人格の内容について、魯山人は、

   「学問、教養、審美力、信心、正直、素直、才智」などで、

   これらが作品の内容となり、この内容が含蓄で、含蓄は信念を作り、

   信念のあるものは、足が地についていると。

   注) 含蓄は<自己の内容>

                              続く
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by hokorin-touchan | 2008-02-26 18:59 | 物の見方
    
2008年 01月 25日
物の見方 「糸口」 その7 ~続 芸術と美術~
 〇 この国の人の物の見方は、お茶の集大成とともに

    つまり、利休の頃に、頂点を極めますが、それはこの国独特のもので、

    他国とは基準が違うようで、細々ながらも現代まで受け継がれています。



 〇 中国の美術品に、大きな象牙を、親、子、孫と三代かけて精巧に彫り上げた、

   素晴らしい、至宝とも言われる品がありますが、

   日本人の感性では、それよりも、良寛さんが近所の子供にせがまれて、

   凧のために書いた 「天上大風」 の書の方が欲しい・・・・

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 〇 かの国の人には納得できないでしょう・・・・

   価値が違うと、1本 何百万円 の象牙、高い技術力による精巧な細工、

   かけた年月(時間)とその代価、国宝級の価値・・・・


   かたや、一枚の紙 20円ほどと、墨少々、労力も時間もほとんどなし・・・・

   字も下手で、こんな字は子供でも書く、と


 〇 漢字の本家、書の国では、良寛さんの字は、評価されないようです。

   一に国柄の違い、 二に文字に対する考え方、評価の基準が違います。


 〇 古来、書には書聖と称された 王義之、の他 王献之、王珣 等の

   法書、法帖があり、その後起こされた流派があり、流儀、様式があり、

   その前に文字について、一線一画に、結構という決まり事があります。

   タテの線は、こう引く、 点は、こう打つ、 ハライはこう・・・・と

   それを踏まえて、流派を起こした 祖の書いた文字に、

   一番近い文字を書くのが、いい字であると・・・・


 〇 王義之の法帖も、臨書された同じ物がいくつもあり、

   どれが真跡か、いまだに議論されています。

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 〇 さて、良寛さん・・・・
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敬上憐下


   この一枚の紙に引かれた 一本の線 ひとつの点に、

   良寛さんの 価値の中身 が入って居り、

   それは震動しており、波動を放射しています。

   その波長、波形は、お日様、お月様からのものと同じようであり、

   日なたぼっこの様に暖かく、名月を観るように、さえざえと物、想わせます。


 〇 価値の中身とは、

   良寛さんの精神性から生まれた 気韻 であり、

   気韻は又、彼の品格個性から醸し出されます。

   個性は、先天的自己(生まれながらに、天から与えられたもの)と

   後天的自己(本人の真理追求の努力に依って、培われたもの) で

   品格は又、求道の末、彼の書にもある

   「任天真」 (自分を捨てて、天に任せる) の心境に達した処から

   生まれたものでしょうか。

   求道とは、

   人として どう生きてゆくべきかを示し、考えて、学ぶためのものです。


 〇 日本には、茶道、華道、書道、香道、柔道、剣道など、

    道のつくものがたくさんあり、

    「茶道の定むる所は、規則ではなく、物の道である」の通り

    書道は筆技ではなく、華道は花の生け方ではなく、

    すべて 物の道、人の道を学ぶためのものでしょう。


 〇 ここに顕現するものが

   「芸術は、その内容であり、内容はその個性である」

    と云うことになりましょう。

                       この項 続く
                     (いつもは削る所を、あまり削らずに残してみました。)
    
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by hokorin-touchan | 2008-01-25 15:45 | 物の見方
    
2008年 01月 14日
物の見方 「糸口」 その6~芸術と美術~
 〇 美術とか芸術という言葉は、近代になって、外国語を翻訳したもので、

   本来の日本語でなかったため、その使われ方も曖昧で、

   外国人とは、その概念も少し違うようです。


 〇 日本の物作りをする人達は、素人か職人か工人とかで、

   江戸期では技を競って、桃山期は自己表現のため、

   それ以前は権力者であり、保護者のため、生活を保障され信仰にも裏打ちされ

   良い物を作ることに専念出来ましたし、

   太古は神に捧げる祭事のものを真摯に作りました。(概ね、大略で)




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〇 ルイジ・コラーニは、

  縄文期の火焔土器を手にして

  最高の芸術品だと絶賛しました。

  火と渦潮をこれほど抽象化した、

  太古の人の、物の見方に 

  敬意を払うと・・・・  


 〇 この国では、抽象表現を、太古に一度完結させているようです。 

 〇 その縄文の意匠は、形を覆いつくし、外に向かって限りなく拡がり

   エネルギーを放射しつづけます・・・・  否対象、 動


 〇 次の時代の弥生土器は、まったく正反対の、内に向かって収斂する、

   シンメトリーで、静で、満月のごとき完璧の姿をしています。

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 〇 まるで 「ビッグバン」 と 「ブラックホール」 を意図しているかのようです・・・・


 〇 さて、美術 と 芸術って、何がどう違うのか、

辞典によると・・・・

   イ 美術とは、美を現す芸術とあり(?)

   空間的、視覚的、美を現すところの絵画、彫刻、建築、写真など、・・・・ですと!?

 それでは

   ロ 芸術とは ① 学芸と技術・・・・   なんじゃーこりゃー?

   ② 鑑賞の対象となるものを、人為的に創造する技術

    空間芸術 ( 建築 工芸 絵画 )

    時間芸術 ( 音楽 文芸 )

    総合芸術 ( オペラ 舞踊 演劇 映画 )

    ~と、これも、もうひとつ、のみ込みにくい表現になっています。


 〇 この国は、古来から外来のものを、すべて受け入れて

   和様化し、昇華させる伝統を持っています。

   建築などでも、中国から入った様式を即座に、日本の風土に合わせた、

   軒の深い、床が高く、風通しの良い形に改めて日本化、風土化させています。


 〇 美術とか芸術とかいうものも、この国独特の解釈の仕方を持っているようです。

   
 〇 君台観左右記帳には、良い物を鑑定し、大名物として選別しています

   (茶の座敷飾りに関するもので、唐物主体ですが・・・・)


 〇 北大路魯山人は、焼き物のよし悪しの見分け方を問われた折、

   慶長以前を芸術品、それ以後を大方日用品だと、一刀両断にしました。

   慶長まで、というのには、お茶の集大成(頂点)から、

   衰退してゆく時期とも合致している、 ただし日本の美術、芸術は、

   時代を遡るほど、素晴らしい、すごい、という、 

   なぜか?・・・・

   技術とか、情報とかでは、なさそうです。
                                    続く

 ◎ この項は長くなりそうです、 つい脇道に逸れそうです

   次は、枝葉にも寄り道しながら、すこし詳しく、判り易くしてみたいですが・・・・


 

 
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by hokorin-touchan | 2008-01-14 17:05 | 物の見方